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最初に知っておくべき基礎知識
①証券口座を開設する
投資を開始する際にまず行うことは証券口座の開設です。選択するポイントとしては下記のようなことを検討すると良いでしょう。
- 新NISAやiDecoの口座開設も可能か?
- 口座開設のしやすさ。
- 売買手数料の安さ。
- 銀行連携機能の有無。
- クレジットカード積立が可能か?ポイント付与されるか?
- 単元未満株*の購入が可能か?
*単元株制度のもと、1単元の株式数に満たない端数株式のことを単元未満株という。例えば通常100株単位でしか購入できない株を1株単位から購入することが可能。
全ての条件を満たし、筆者も開設しているお勧めはSBI証券と楽天証券です。
筆者は三井住友銀行が給与振り込み口座でメインにしていることもありますが三井住友カードも持っており、単元未満株の選択肢は楽天証券よりも豊富であることでSBI証券をメインに新NISA運用しています。単元未満株の購入に関しては後述する高配当株投資を行うためです。
楽天証券の場合は楽天経済圏(楽天モバイル・楽天銀行・楽天証券・楽天ポイントクラブなど)にいる場合、楽天カードで積立投資した際のポイント付与が有利な点があります。また2024年9月に購入可能となった楽天SCHD(楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型))を購入するために開設しました。SBI証券同様、楽天証券での楽天SCHD購入は高配当投資の米国株版として行っており、こちらは新NISAではなく特定口座で運用しています。
②投資の目的を明確にする
資産形成において最初に考慮すべきことは、「投資の目的」を明確にすることです。万人に向けた正解はありません。20代半ばで蓄えはないものの、まだまだ給与所得が見込めて資産形成の時間が確保できる人と定年まであと10年で多少の蓄えは持ちつつも老後の資産形成を行いたい人ではリターンの最大化を求めたとしても掛けられる時間や金額に違いがあるので当然アプローチは変わってきます。
言わば目的によって、投資対象や戦略、リスク許容度が大きく異なるため、各自の状況に応じた適切な計画を立てることが重要です。
1. 資産の最大化(将来の自分への投資)
資産を最大化するには、長期的な視点が必要です。例えば、毎月3万円を15年間、年利5%で運用した場合、投資した金額そのものは540万円ですが、最終的には約980万円に達することも期待できます。(複利効果を活用)。このように、長期運用はリターンを増大させる効果があります。言わば資産の最大化はなるべく大きな金額をなるべく長く運用することで得られるため、少なくとも15年後以上の自分に向けた投資となり、老後に向けた資産構築といった目的に合致すると言えます。
資産を大きくするには入金力と複利のメリットを最大限に享受する
複利のメリットとはなんでしょうか?
例えば、元金(もともとのお金)が100万円あり、この100万円を金利5%(年利)で1年間運用したとすると、1年後には105万円になります。この5万円は元金に対してついた運用益です。この5万円も含めて(つまり105万円を)再び金利5%で1年間預けると、1年後には110万円となるのではなく、110万2,500円になります。この2,500円は、利子である5万円についた利子です。このように、利子にもまた利子がつくことを「複利」といいます。
長い期間で見ると、複利の効果は非常に大きくなります。複利にするためには、利子を元金に組み入れて運用すればよいのです。上記の例では、利子の5万円を元金100万円に加え、105万円を新たな元金として運用していました。
これに対して、利子を元金に組み入れない場合、「単利」となります。上記の例で、利子の5万円を元金100万円に組み入れず、100万円のみを再び金利5%で預けたとすると、1年後には110万円になります(100万円+1年目の利子5万円+2年目の利子5万円)。このような運用を「単利」での運用といいます。
このように、複利では利子に対しても利子がつくため、長期的に資産がより大きく成長する可能性があるのが最大のメリットです。
投資額 | 年利 | 運用期間 | 最終的な金額 |
---|---|---|---|
毎月3万円 | 5% | 15年 | 約9,800,000円 |
毎年年末に36万円 | 5% | 15年 | 約9,200,000円 |
このように年間36万円を運用する場合でも、毎月3万円ずつ入金していく場合と36万まで貯まるのを待ってから入金するのでは最終的な運用益に差がついてきます。なるべく多くの金額をなるべく長く市場で運用することがメリットの最大化につながっていきますが、一般的には投資にかけられる金額はそう多くはありません。もしかけられる金額が一定であれば、貯まるのを待つのではなく可能な限り逐次投入して運用している時間が長くなるようにすることが運用益の増大につながります。
また、米国株のような長期的に成長が期待される資産を利用し、リスクを分散させることが推奨されます。ドルコスト平均法を活用する
ことで、相場の上下に左右されずに着実に資産を形成できます。
さらに詳しくは「資産の最大化を目指すインデックス投資のメリット」の記事をご覧ください。リンクはこちら:XXXX
15年以上の長期投資が前提
インデックス投資における運用期間別のリターンデータは、多くの市場で長期的に運用することで運用益がプラスになる可能性が高まることを示しています。特に米国市場を代表するS&P500インデックスや全世界株式インデックスを対象にしたデータがよく参照されます。
以下は、一般的に知られている運用期間ごとのプラスリターンの確率と関連データを含んだ説明です。
インデックス投資の運用期間別プラスリターンの確率
以下は、S&P500インデックスの歴史的なデータに基づいた運用期間別のリターン確率です。
1. 運用期間:5年間
- プラスリターンの確率:約75~80%
- 解説:短期では市場の変動に左右されやすく、必ずしもプラスになるとは限りません。例えば、2008年の金融危機の直後の5年間ではリターンがマイナスの期間もありましたが、リーマンショック後の回復期には急速にプラスに転じました。
2. 運用期間:10年間
- プラスリターンの確率:約85~90%
- 解説:10年という運用期間では、景気循環による短期的な下落があっても、全体としてプラスになる確率が高まります。1990年代のITバブルや2000年代初頭の株価下落でも、10年間の運用ではプラスのリターンを得た事例が多いです。
3. 運用期間:15年間
- プラスリターンの確率:約95%以上
- 解説:15年の運用期間になると、市場は経済成長に伴う自然な上昇を反映し、ほとんどの場合でプラスリターンが期待できます。歴史的に、S&P500は15年間の運用でマイナスリターンを記録したことはほぼありません。
4. 運用期間:20年間
- プラスリターンの確率:ほぼ100%
- 解説:過去のデータでは、20年以上の運用でS&P500がマイナスリターンを示したケースはほぼ皆無です。例えば、1929年の大恐慌や2008年の金融危機などを乗り越えても、20年間の運用ではリターンがプラスになっています。
実例:S&P500の過去データによる検証
- 5年期間(2007~2012年):
- 2008年の金融危機が発生し、2009年の底値で株価が大幅に下落しましたが、その後のリカバリーで5年後にはプラスのリターンが確認されています。
- 年間平均リターン:約2%(2007~2012年)
- 10年期間(2000~2010年):
- ITバブル崩壊から始まった2000年代の最初の10年は厳しい相場でしたが、2009年以降の回復で10年間の運用期間ではプラスのリターンが見込めました。
- 年間平均リターン:約1~2%(2000~2010年)
- 15年期間(1990~2005年):
- 1990年代の経済成長期からITバブル崩壊を経ても、15年間の運用では堅調なプラスリターンが得られました。
- 年間平均リターン:約8%(1990~2005年)
- 20年期間(1980~2000年):
- 1980年代の株式市場の好況と1990年代の成長を背景に、20年で見た場合非常に高いリターンが得られています。
- 年間平均リターン:約12%(1980~2000年)
出典
- S&P500インデックスの歴史的リターンデータ:VanguardやMorningstarのようなファンド会社が公表しているデータに基づくリサーチが多く、複数の報告書で上記のようなリターン傾向が示されています。
- 米国株の長期投資に関するレポート:
これらのデータは、インデックス投資が長期的にリスクを低減し、安定した運用益を提供するという点を強調しています。
インデックス投資
インデックス投資は、投資初心者にとって最もシンプルで手軽な投資方法の一つです。市場全体の動きを追いかけることで、個別株を選ぶリスクを減らし、長期的な成長を目指す方法です。ここでは、具体的にインデックス投資がどういうものか、どのような銘柄を選んで、どのようなリターンを期待できるかをわかりやすく説明します。
1. インデックス投資とは?
インデックス投資とは、市場全体の動きに連動する「インデックス(指数)」を追いかける投資方法です。例えば、アメリカの代表的な株式指数である「S&P500」や、日本の「日経平均株価」などがその対象です。これらのインデックスに連動する投資信託やETF(上場投資信託)を購入することで、市場全体の成長を目指します。
ポイント:インデックス投資では、個別の銘柄(企業の株)を選ばずに、分散された市場全体に投資するため、リスクが分散され、安定したリターンが期待できるとされています。
2. どのような銘柄を購入するか?
初心者向けの具体的なインデックス投資信託の例をいくつか挙げます。これらは手軽に購入でき、人気のある商品です。
a. S&P500に連動する投資信託
- 銘柄例: 「楽天・全米株式インデックス・ファンド」
- 内容: 米国市場を代表する500銘柄で構成される「S&P500」に連動する投資信託です。これに投資することで、Apple、Microsoft、Amazonなど、アメリカの主要な企業全体に投資することになります。
- リターンの期待: 過去のデータによると、S&P500は長期的に平均年利約7~8%のリターンを上げています。短期的には市場の変動がありますが、20年以上の投資期間ではかなりの確率でプラスのリターンが期待できます。
b. 全世界株式に連動する投資信託
- 銘柄例: 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
- 内容: 全世界の株式市場に広く分散投資ができる投資信託で、アメリカだけでなく、ヨーロッパや日本、新興国も含まれます。経済成長が続く限り、世界全体の成長に連動して資産を増やすことが期待できます。
- リターンの期待: 全世界株式の平均年利は約5~7%程度です。アメリカ市場に比べるとやや低めですが、リスク分散がされており、安定感があります。
c. 日本株式に連動する投資信託
- 銘柄例: 「ニッセイ日経225インデックスファンド」
- 内容: 日経平均株価に連動する投資信託で、日本の主要な225銘柄に分散投資できます。トヨタやソニーなど、日本を代表する企業群に投資することになります。
- リターンの期待: 日経平均はアメリカ株ほど成長していない時期もありますが、長期的には4~6%程度のリターンが期待されます。
3. どのように購入するか?
インデックス投資信託は、証券会社の口座を開設することで簡単に購入できます。SBI証券や楽天証券などのオンライン証券会社を利用すれば、少額からでもスタート可能です。
購入手順
- 証券会社で口座を開設: インターネットで手続きが簡単に行えます。
- インデックス投資信託を選択: 上記の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」など、興味のあるインデックス投資信託を検索して購入。
- 積立投資を設定: 毎月一定額を自動的に投資する「積立投資」がおすすめです。これにより、購入のタイミングを分散し、リスクを軽減できます。例えば、毎月1万円ずつ積み立てることで、時間をかけて少しずつ資産を増やしていくことができます。
4. どのようなリターンを期待できるか?
インデックス投資は短期間で大きな利益を期待する投資ではなく、長期的に資産を増やしていくための手段です。例えば、過去のS&P500の実績を基に考えると、以下のようなリターンが期待されます。
- 5年運用:年利約5~7%のリターンで資産が約1.3倍に増える。
- 10年運用:年利約7%のリターンで資産が約2倍に増える。
- 20年運用:年利約7%のリターンで資産が約4倍に増える。
インデックス投資の魅力は、長期にわたって「複利」の効果を活かし、資産が着実に増加する点です。複利とは、得られたリターンがさらに新たなリターンを生むという効果で、時間をかけて資産が雪だるま式に増えていくというものです。
5. インデックス投資のメリットとデメリット
メリット
- リスク分散: 多くの銘柄に分散投資するため、個別銘柄への依存が少ない。
- 低コスト: 投資信託の運用コストが比較的低いため、長期的なリターンに有利。
- シンプルで初心者向き: 個別株を選ぶ必要がなく、簡単に始められる。
デメリット
- 短期的なリターンは期待できない: 短期間での大きな利益は見込めないため、長期投資が基本。
- 市場全体のリスクを取る: 市場全体が低迷すると、それに連動して運用成績も悪化することがあります。
結論
インデックス投資は、初心者が少額から始められ、長期的な成長を見込んで資産を増やすのに最適な投資方法です。
市場全体に投資し、リスクを分散させるため、個別株式よりも安定性があります。定期的な積立投資を行うことで、時間を味方につけ、複利の力を活かして資産を育てていくことが可能です。
分散投資
リスクに対応した分散投資とは、投資ポートフォリオを複数の異なる資産や地域に分散させることで、特定の市場や銘柄の変動によるリスクを最小限に抑える方法です。以下に、具体的な分散投資のアプローチと、時間的分散と性質的分散をどのように行うかを詳しく解説します。
1. 分散投資とは?
分散投資は、異なる種類の資産(株式、債券、不動産など)や異なる地域(アメリカ、日本、新興国など)に投資することで、リスクを分散し、安定したリターンを目指す投資戦略です。特定の銘柄や地域が不調でも、他の資産がカバーすることで、損失を抑え、ポートフォリオ全体のバランスを保ちます。
2. 時間的分散:ドルコスト平均法
ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)は、時間的に分散投資を行うための手法で、一定額を定期的に投資することで、購入時期によるリスクを分散します。市場が上昇しているときも、下落しているときも一定額を投資するため、購入単価が平均化され、市場の変動リスクを抑えることができます。
メリット
- 価格変動の影響を緩和:市場の短期的な上下動に左右されにくく、結果的にリスクを抑えることができます。
- 感情に左右されない:毎回一定額を投資するため、感情的な売買を避け、長期的な投資目標を達成しやすくなります。
デメリット
- 市場の急騰に乗り遅れる可能性:大きく市場が上昇した場合、一度に大きく投資していた方がリターンが高くなることもあります。
- 定期投資が負担になる:一定額を継続して投資し続けるため、予期しない出費があると積み立てが難しくなることもあります。
図:ドルコスト平均法の効果
(図のイメージ:異なるタイミングで株式を購入した場合、購入単価が平均化されている例)
投資回数 | 株価(円) | 購入額(円) | 購入株数 |
---|---|---|---|
1回目 | 1000 | 10000 | 10株 |
2回目 | 800 | 10000 | 12.5株 |
3回目 | 1200 | 10000 | 8.33株 |
平均単価 | – | – | 約10.28株 |
3. 性質的分散:異なる資産クラスや地域の分散
性質的分散は、異なる資産や地域、業種に投資することで、リスクをさらに低減する方法です。米国株、日本株、債券、そして世界各地の投資信託を組み合わせることで、各国や各資産が直面する異なる経済状況に対して柔軟に対応できます。
a. 米国株&国内株の分散
米国株と日本株は、それぞれ異なる経済環境や成長性を持つため、組み合わせることでリスクを分散できます。
- 米国株:成長性が高く、特にハイテク企業やグローバル企業の影響を受けやすいですが、ドルの為替リスクがあります。
- 国内株(日本株):為替リスクがなく、比較的安定した企業に投資できますが、成長率が低い可能性があります。
相関係数の観点からも、米国株と日本株は完全に連動して動くわけではないため、リスク分散が効果的です。
銘柄例:
- 米国株式投資信託:「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
- S&P500に連動するインデックスファンドで、米国株の成長を享受できます。
- 日本株式投資信託:「ニッセイ日経225インデックスファンド」
- 日経平均株価に連動する投資信託で、日本の主要な225銘柄に分散投資できます。
b. 債券と株式の組み合わせ
株式と債券は、通常、逆相関の関係にあります。株式市場が好調なとき、債券は低リターンになりがちですが、逆に株式市場が低迷すると、債券は安定したリターンを提供します。金利上昇局面(利上げ)と金利低下局面(利下げ)で異なる動きをします。
銘柄例:
- 債券投資信託:「三菱UFJ DC国内債券インデックスファンド」
- 国内債券に連動するインデックスファンドで、安定したリターンを提供。
- バランス型投資信託:「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」
- 世界中の株式と債券に分散投資するファンドで、リスク分散を図ります。
図:株式と債券の相関関係
(図のイメージ:株式が上昇する際、債券が横ばいまたは下落する逆相関のグラフ)
4. 為替リスクの考慮
米国株に投資する際には、為替リスクも重要な要素です。日本円とドルの為替レートが変動すると、投資リターンに影響を与えます。例えば、円高になると、米国株のリターンが目減りする可能性があります。これに備えるために、為替ヘッジ付きの投資信託を利用する方法もあります。
銘柄例:
- 為替ヘッジ付き米国株投資信託:「ニッセイ外国株式インデックスファンド(為替ヘッジあり)」
- 為替リスクを抑えることができます。
結論
分散投資は、リスクを軽減しながら安定したリターンを狙うための有効な方法です。時間的分散をドルコスト平均法で行い、性質的分散を米国株、国内株、債券、さらに為替リスクの軽減を考慮した投資信託を組み合わせることで、長期的な資産形成を目指すことができます。出典に基づいたデータや実績をもとに、慎重にポートフォリオを組むことが大切です。
投資の枠としては税制優遇をフル活用する
投資の初心者にとって、資産形成を効率的に進めるためには、政府が提供する税制優遇措置をしっかりと活用することが大切です。特に長期的な資産形成や高配当株投資、国内・海外の投資信託に対する優遇措置をうまく活用することで、税負担を軽減しながらリターンを最大化することが可能です。ここでは、具体的な優遇制度を紹介し、それぞれのメリットや活用方法を図解しながら説明します。
1. 税制優遇の優先度① iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、個人で加入できる年金制度で、積立額が所得控除の対象となるため、所得税や住民税の節税効果が大きいです。年収500万円の企業型DCなしのモデルケースでiDeCoのメリットを具体的に見ていきましょう。
iDeCoの仕組みと節税効果
- 積立限度額: 月額最大23,000円(年間276,000円)
- 所得控除: 年収500万円の場合、所得税率は20%(住民税10%)
- 節税効果: 年間で最大約82,800円の節税(276,000円 × 30% = 82,800円)
S&P500に投資した場合のトータルリターン
S&P500の期待年平均リターンは約7%。iDeCoの積立でS&P500に投資し、20年間運用した場合、税制優遇を考慮したトータルリターンをシミュレーションすると、以下のようなリターンが期待できます。
年 | 累積積立金額 | 投資リターン(7%) | 節税効果 | 合計リターン |
---|---|---|---|---|
1年 | 276,000円 | 18,920円 | 82,800円 | 377,720円 |
5年 | 1,380,000円 | 108,635円 | 414,000円 | 1,902,635円 |
10年 | 2,760,000円 | 319,734円 | 828,000円 | 3,907,734円 |
20年 | 5,520,000円 | 1,532,674円 | 1,656,000円 | 8,708,674円 |
iDeCoの受け取り時
受け取り時には退職所得控除を活用することで、課税を最小限に抑えることが可能です。
- 受け取り時の年齢: 60歳から70歳までの間に受け取り可能
- 退職金控除: 20年以上加入した場合、退職所得控除額は1,200万円(40万円 × 30年)
- 課税のポイント: 一時金として受け取るか、年金として分割して受け取るかで課税方法が異なりますが、一時金として受け取る場合、控除額内であれば非課税です。
2. 税制優遇の優先度② 新NISA(2024年からの制度)
新NISAは、つみたて枠と成長投資枠があり、トータルで最大1,800万円までの投資額が非課税になります。つみたて枠で安定的に積立を行い、成長投資枠で高成長を目指すのが基本的な活用法です。
つみたて枠の仕組み
- 総枠: 1,200万円
- 年間投資額: 最大120万円
- 購入銘柄: 長期積立に適したインデックスファンドやETFが中心。「eMAXIS Slim全世界株式」や「楽天・全米株式インデックス・ファンド」など、低コストで分散投資ができる商品が推奨されます。
- クレカ積立のポイント: SBI証券や楽天証券でクレジットカード積立を利用すると、積立金額の1%程度のポイントが付与されます。例えば、楽天証券で年間120万円の積立を行うと、約12,000ポイント(楽天ポイント)がもらえます。
成長投資枠の仕組み
- 総枠: 制限なし
- 年間投資額: 最大240万円
- 購入銘柄: 高成長が期待される個別株やETFが中心。例えば「SPDR S&P 500 ETF」や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」などが人気です。
3. 税制優遇の優先度③ 特定口座
特定口座は、新NISAの枠を超えた分を運用するための口座です。投資から得た利益に対して20.315%の税金がかかりますが、特定口座の「源泉徴収あり」を選択すれば、利益が発生した時点で自動的に税金が引かれるため、確定申告が不要になります。
特定口座のメリット
- 手間がかからない: 源泉徴収ありを選べば、確定申告の必要がありません。
- 自由度が高い: 新NISAでは投資枠に限度がありますが、特定口座では自由に投資が可能です。高配当株なども自由に運用できます。
まとめ
税制優遇を最大限に活用することで、投資のリターンを大きく増やすことができます。長期資産形成にはまずiDeCoを活用し、所得税・住民税の節税を図りつつ、つみたてNISAでリスク分散した積立投資を行うことが推奨されます。特定口座を補完的に活用することで、NISAの枠を超えた投資も効率的に行うことが可能です。
それぞれの税制優遇制度をうまく組み合わせ、効率的な資産形成を目指しましょう。
2. 生活費の補助(配当金によって直近の収入を底上げする)
高配当株投資の魅力とリスク
高配当株投資は、インカムゲインを重視した投資手法です。インカムゲインとは、配当金や利息など、投資資産から得られる定期的な収入を指します。対して、キャピタルゲインは、株価の上昇によって得られる利益を意味します。両者を対比しながら、高配当株投資のメリットやリスクを具体的に見ていきます。
1. キャピタルゲインとインカムゲインの違い
- キャピタルゲイン: 株価が上昇することで得られる利益。例えば、買った株が100万円から120万円に上がれば、その20万円がキャピタルゲインです。株価の成長が期待できるファンドや銘柄では、キャピタルゲインも重要です。
- 例: 楽天SCHD 楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)が投資するマザーファンドSchwab U.S. Dividend Equity ETFなどは、過去にキャピタルゲインが得られている実績があり、株価の成長と増配の両方が期待できるETFです【出典: Schwab ETF実績】。
- インカムゲイン: 配当や利息として、投資資産から定期的に得られる収入。高配当株や配当ETFは、インカムゲインが重視され、安定したキャッシュフローが見込まれます。
- 例: SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD)、バンガード米国高配当株式ETF(VYM)は、高配当利回りを提供し、安定したインカムゲインを得ることができます。
2. 高配当株の魅力
- 配当金は企業が決定するため、配当は「粘着性」があり、業績が悪化してもすぐに減配されることは少ない傾向があります。ただし、株価は日々変動し、数十%の下落もあり得ます。特にリーマンショックのような経済危機では、短期間で大幅な下落が発生しました。
3. 理想的なファンド・銘柄選定
- キャピタルゲインも期待でき、配当も増加する銘柄やファンドを選ぶことが理想です。株価が成長し、業績が良い企業は増配することが多いため、配当収入が増加するだけでなく、株価自体も上がることで資産全体が増加します。
- 例えば、楽天SCHDは増配率も高く、キャピタルゲインも得られる可能性があるファンドです【出典: Schwab】。
高配当株投資のメリットとデメリット
メリット
- 安定した収入: 配当金が定期的に振り込まれるため、資産を取り崩さずに収入が得られる。特に、引退後の収入源としても適しています。
- 出口戦略が不要: 株を売却してキャピタルゲインを得る必要がなく、配当収入を受け取るだけで生活できる可能性がある。
デメリット
- 配当率だけに頼るリスク: 配当率が高いだけで、株価が下落する「罠銘柄」も存在します。これらの銘柄は長期的な配当維持が難しい場合があり、減配や無配に転じることも。
- キャピタルゲインの欠如: 一般的に高配当ファンドは、成長企業ではなく安定収益確保の傾向が高くキャピタルゲインが非常に弱く、長期的な資産成長が期待できないことがあります。
結論
高配当株投資は、安定したインカムゲインを得ることができ、キャピタルゲインも期待できるファンドや銘柄を選定することで、より理想的な投資を実現できます。SPYD、VYM、楽天SCHDのような米国高配当ETFや、SBI証券の日本株高配当ファンドなどを組み合わせ、長期的な視点で投資を行うことで、配当金と資産の両方を成長させることが可能です。
③リスク許容度
投資の初心者にとって、自分の年齢とリスク許容度に合わせた投資対象の選択は非常に重要です。リスク許容度は、投資においてどの程度のリスクを受け入れられるかを示し、年齢やライフステージによって異なります。以下では、20代から50代までを10歳刻みで分類し、各年代に応じた投資戦略を体系立てて説明します。
1. リスク許容度とは?
リスク許容度とは、投資家がどれだけのリスクを受け入れられるかを指します。リスクが高いほど、リターンが大きくなる可能性もありますが、損失が発生する可能性も高まります。逆に、リスクが低いほどリターンは安定しますが、利益の拡大も緩やかです。
投資は「リスク資産」と「安全資産」に分かれ、リスク資産は株式や不動産、ハイリスクなファンドなどが含まれ、安全資産は債券や預金などが該当します。年齢やライフステージによってリスク許容度は異なり、それに応じて投資対象も変化します。
2. 年代別の投資戦略
20代:長期投資と成長性重視
- リスク許容度: 高い
- 特徴: 手持ち資産は少ないが、定年までの40年間給与所得が見込める。リスクを取る余裕があり、長期的に高リターンを狙える資産に投資することが可能。
- おすすめの投資対象: 長期のインデックス投資(株式中心)
- インデックス投資: S&P 500、全世界株式ファンド(例:VTI、楽天・全米株式インデックスファンド)
- リターン期待値: 長期で6-8%程度の年利が期待できる
- 理由: 若いほど長期的なリターンを狙う時間があり、株式市場の成長にフルに参加できるため。
20代の資産配分例
資産タイプ | 配分割合 |
---|---|
株式(インデックス) | 80% |
債券や現金 | 20% |
30代:流動性の確保と成長
- リスク許容度: 中程度
- 特徴: 収入が増え、家庭を持ち始める頃。手元にある程度の資金が必要で、流動性も考慮する必要があるが、まだ長期投資も可能。
- おすすめの投資対象: インデックス投資 + 流動性の高い金融商品(債券や現金)
- 例: 米国株や日本株のインデックスファンドに加え、MMF(マネーマーケットファンド)や債券ETF(例:BND、AGG)
- リターン期待値: 株式部分で6-8%、債券で2-3%
- 理由: リスク資産を多めにしつつも、流動性のある商品も確保することで、突然の支出にも対応できる。
30代の資産配分例
資産タイプ | 配分割合 |
---|---|
株式(インデックス) | 70% |
債券や流動性資産 | 30% |
40代:老後の資産形成とリスク管理
- リスク許容度: 中低
- 特徴: 給与収入が安定しているが、老後の資金準備が重要になってくる。長期運用とリスク管理のバランスが求められる。
- おすすめの投資対象: 株式、債券、退職後を見据えた安全資産
- 例: バランス型ファンド、分散型インデックスファンド(例:eMAXIS Slimバランス、全世界株式と全世界債券の組み合わせ)
- リターン期待値: バランス型で4-6%
- 理由: 老後資金を確保しつつ、まだある程度のリスクを取って資産を増やしていく時期。
40代の資産配分例
資産タイプ | 配分割合 |
---|---|
株式(インデックス) | 60% |
債券や現金 | 40% |
50代:安定重視の運用
- リスク許容度: 低い
- 特徴: 老後が近づき、長期投資は縮小。流動性の高い資産やリスクの低い資産への移行が進む。老後資金を中心とした運用が重要。
- おすすめの投資対象: 安定した債券や配当重視の株式、現金
- 例: 債券ETF(BND、AGG)、高配当株ETF(VYM、SPYD)
- リターン期待値: 債券で2-3%、高配当株で3-4%
- 理由: 資産の保全が優先される時期であり、リスクを最小限にしつつ収益を得られる資産が望ましい。
50代の資産配分例
資産タイプ | 配分割合 |
---|---|
債券や現金 | 60% |
株式(高配当株など) | 40% |
まとめ
各年代ごとのリスク許容度に応じて、投資対象は変わります。若い年代ではリスクを取って成長資産に多く投資し、年齢が上がるにつれてリスクを減らし、安定した資産に移行していくのが基本的な戦略です。また、債券や現金など流動性の高い資産を組み合わせることで、突発的な支出にも対応しやすくなります。
参照した書籍
普通の人が資産運用で99点をとる方法とその考え方
著者:Hayato Ito
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